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【Pete's diary更新】 The Endless Wire
立て続けにPeteの日記が更新されています。今回の日記はThe Whoに関する話題も多く、興味深い内容です。
昨年の来日についても少し出てきます。私達日本のファンは彼女に感謝した方がよさそうです。
****************************************************
奇跡的な時だ。Rachelが立派なブログを持っており、私はそれに少し嫉妬している。rachelfuller.blogspot.comを見てみてほしい。私は1971年には既にこのようなインターネットで交流する世界の到来を予見していたが、ほとんどの人々が私を変人扱いした。つねに実践を重んじる男Rogerは、「ネットで繋がることなんてできない」と言っていた。
80年代に、私はロンドンのthe Royal College of Artで講義をして、音楽ダウンロードの隆盛と、同じネットという媒体を通してポルノ画像という形で子供が性的に搾取される社会が訪れることを予言した。きっとその2つのテーマを一緒に語るべきではなかったのだろうが、わずかに集まった年若い学生達のほとんどは私を小ばかにして立ち去ってしまった。

Who関係のチャットルームにはRachelが私に何か悪い影響を与える存在だと考えている人々がいるようだが、忘れないでほしい。他の多くの人々と同じように、私が警告処分を受けた時、彼女は逃げ出したりしなかった。自分の身を守るように私が彼女を説得したにもかかわらずだ。よって、逆に私がRachelにとって良くない存在ではないかという少数派の意見の方がずっと信頼性があるのではないか。
今の時代、誰もが無料でブログを持ち、画像や音楽やアイデアを提供でき、地球全体をカバーする創造的なコミュニティに参加することが可能になった。これらの全ては私が1971年に予測していたことだ。そして私たちの全てがアーティストな訳ではない。多くのブログがポルノ画像集めに利用されている(このことも私は80年代に予見していた)。しかし世界は狭くなったように思える。家族同士で休暇中に撮った写真をお互いに見せ合い、ティーンエイジャー達は学校での悩み事を語り合う。Marshall McLuhan(カナダの文学者・文明批評家。メディアを中心とした独自の文明論で有名)の産んだ言葉Global Village(地球村)が現実化し、我々は世界共通語を得た。最新のアップル・コンピュータでは今や簡単な文章を何十種類もの異なる言語に簡単に翻訳できる。PCでも同様だろう。

私の創造的な波は止まってはいない。私は来る日も来る日も書き続けている。Mon écoulement créateur n'a pas cessé. J'écris chaque seul jour.(※同じ意味の文章をフランス語で繰り返しています)
私は曲や歌詞、音楽をたくさん作っている。いくつかのスタジオを持ち、クリエイティブな生活を楽しんでいる。しかしこの日記を読んでいる人々の大多数がThe Whoと呼ばれるグループの為に私ができることにしか興味がないことを私はよく知っている。そして彼らにとって、The Whoの活動以外の私が心配している全てのことは時間の無駄としかみなされない。
そうかもしれない、そうじゃないかもしれない。Peut-être, peut-être pas.(※同じく、フランス語での繰り返し)

Rachelのブログがスタートしてすぐに1週間に1000以上のコメントを集めたのは驚くべきことだ。私が思いついた時にいつでも文章や画像や映像、pdfファイル、そして勿論音楽を載せることができる日記ページをこのサイト内に作るのに、Matt Kentと私は2年間かかった。ようやく日記ページが完成し、チャットルームが軌道に乗ったと思ったら、一時的にサイトを休止しなければならなくなった。単純にデータ転送量があまりに膨大になった為に金銭的負担が大きくなったのと、1981年以降創造的活動を止めてしまったバンドが永遠に続くと信じていたいWhoファンの怒りと欲求不満があまりに膨れ上がってしまったのが原因だった。
The Who est éternel.(フランス語、"The Whoは永遠だ")

Rachelの存在は私の人生においてとても重要な役割を果たしてきた。私がRogerの強い要求でJohn Entwistleの経済状態を助ける為にThe Whoとしてツアーを行ってきたのは、彼女の励ましがあったからだ。QUADROPHENIAなどの大掛かりなテーマ抜きのツアーにしたのも彼女の勧めだ。また、『LIFEHOUSE CHRONICLES』のリリースにあわせてSadlers Wellsでソロライブができたのも彼女のおかげだ。ここ数年The Whoが再びツアーに出られたのは彼女が私に多くのチャリティ・ライブに出演することを勧めてくれたからだ。昨年日本をはじめて訪れた時にも彼女は一緒に来てくれた。彼女がいなければ、私はRogerと日本に行くことも、オーストラリアを再び訪れることもなかっただろう。彼女はずっと私のプロフェッショナルな支持者でいてくれている。

私は彼女の曲を手伝うのは簡単にこなしているのに、自分の曲作りに悪戦苦闘しているさまを見ているのは彼女にとってつらいことだと思う。だが私が苦心しているのは、Whoファン(その中には私も含まれている)がThe Whoと呼ぶものの為に曲を書くときだけだ。人々は「いいからとにかく曲を作れ」と言うが、私はまさしくその通りにしている。しかし最終的にはWhoらしい曲ではなく、Brecht(おそらくドイツの劇作家Bertolt Brecht。三文オペラ等が有名)やWeil(フランスの哲学者Simone Weilのこと?)やSerge Gainsboroughのような雰囲気の曲になってしまう。人々が何を求めているかはわかっているし、私の中の一部は喜んでそれを差し出そうとしている。だがどうやら自分の創造的な部分を制御できそうもない。私は私のやることをやるだけだ。もしそれが「俺はアーティストだ、俺の曲が気に入らない奴は消えろ」という風に見えたとしても、私にはそうすることしかできない。

Lackaddady。(?)若い頃はある程度の量をまとめて書くのがよい効果を生んだ。「卵子」となる曲を10曲作ると、私はその中からたったの1曲だけ、Rogerとの受精に成功しそうなものを選ぶ。自宅で10曲デモをレコーディングして、使いものになるのはそのうちの半分。そうして集めた10曲をRogerに演奏してみせると、彼はその中の6曲ほどにOKを出す。つまりレコーディングした10曲のうち4曲は悲しいことに生まれる前に死んでしまうことになる。
つまり、The Whoの曲としてひとつの曲を完成させる為に私は50曲の「卵子」を作り出す必要がある。アルバムの形でリリースできるように15曲を揃えるには750の曲、もしくは何らかの曲の断片を用意しなくてはならない。卵子ひとつひとつに金がかかるわけではなくても、それを受精させるための行為は安くはない。Rogerが実際に歌えるかどうかを判断する最初の選別作業が重要なものになってくる理由はそこにある。

卵子の受精を促すにはまずひとつひとつのデモを作らなければならないが、1曲につき£500(約10万円)かかり、作業に4日間必要となる。19歳の頃の自分はひたすらライブとデモ作りに明け暮れていた。家に帰っても朝から晩まで曲作りをしていた。子供が産まれても自宅のスタジオで作業を続けていたので、線路の近くに住んでいる人が夜行列車の音がしなければ眠れなくなってしまうように、私の子供達は私がいつものように真夜中まで同じ曲を何度も何度も演奏する音が聞こえなければ眠れない体になってしまった。

信じられないかもしれないが、それまでに10年間ひたすら曲を書きためてきて、1996年にはデモ・レコーディングをするばかりの作品(卵子)が1400曲集まった。私の計算ではその曲でThe Whoのアルバムが少なくともあと2枚作れるはずだ。しかし1曲につき£500かかることを考えると、その全てのデモを完成させるには£700,000(126万ドル、約1億4000万円)と15年の期間が必要になる。現実に、この無茶な計算結果に実際に近づきつつある。いくつか持っているスタジオは毎年大きな維持費がかかり、96年とはほとんど10年前のことだ。終了予定まであとたったの5年。

このRogerが歌えるかどうかの選別作業をしないで済むならいいのだが、もしかしたらこれがThe Whoの新作をまだリリースできない理由かもしれない。もう自分達のやりかたを今更変えるのは難しい。
実際のところ私の作業が遅れてしまうのは、生産性や努力や選別のせいではなく、私の芸術家的繊細さに原因がある。卵を宿すアーティストとして、私の作った音楽が何であれ選別の過程で「却下される」のは我慢ならない。たとえそれがいままでずっと、特にThe Whoの全盛期に数え切れないほど経験してきたことであったとしても。

John Entwistleが亡くなる少し前に私にいった言葉によると、彼にとってThe Who用にレコーディングする曲を提供するのはきつい作業だったそうだ。なぜなら、内容はどうあれ曲についてRoger(や私)がつべこべいうのがどうしても我慢できなかったからだ。彼の親しい友人に聞いてみるといい。これが彼の率直な意見だった。彼はその気持ちを乗り越えたかもしれないが、やはりあまり進んでThe Whoの曲を作ろうとはしていなかった。

この問題は、まずRogerがThe Whoのメインヴォーカルとしてごく普通のことのように彼の流儀の選別作業を始めたことから始まった。もし、幸運にも、彼が最初に聞いた曲を気に入ったとしたら、残りはうまくいく。彼が「却下した」曲は作業の最後に再び検討されるが、もう誰もその曲のことなど気にかけていない。そういった曲はシングルB面や無料配布やセルフリリースなどで陽の目を見る。しかしもし彼が最初の数曲を聞いてそのほとんどを却下したとしたら、全てが台無しになる。先ほど提示した計算は適用されない。なぜなら曲を作る「アーティスト」がかつてJohn Enwtistleが言ったのと同じようにこう言うからだ。「ふざけるな!俺が必死の努力で生み出した曲(既に前もって慎重にふるいにかけ、費用と時間の制約を何とかくぐりぬけて作り上げた)をどんな基準だろうが却下するなんて受け入れられるか!」

だがこの頃は反対意見の一部は認められるようになった。私はものすごい量の曲を作り続けなければならない。もしそれができて幸運に恵まれれば、私が死ぬ前に素晴らしい仕上がりのThe Whoの新作がお目見えすることだろう。心強いことに、私はRogerを好きだし彼は私を好いてくれ、私達のどちらも働く気、そして待つ気がちゃんとある。

もうひとつ役立っているのはインターネットだ。セーリングに出るか釣りをするか本を読む以外、私はいつでも人に連絡ができる。私の作業はゆっくりで、費用もかかるが、待つ価値のあるものができることを願っている。少なくとも私はただ8月に2週間の休暇を取っているだけで、それ以外の時間は働いて働いて働いて働いて働いて働いているのだ。

私達は誰もが今日旅に出た。たとえ終わりのないワイヤーであっても。(?)
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